最終日は一日釧路をあちこち.
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アルバム 141115-1119_北海道 |
ホテルを4時半に出立.
良く冷え込んだ暗い中を湿原の方面へとレンタカーを進めます.

湿原展望台へ行くといい感じの高台で釧路の夜景が広がります.雲がなかったら綺麗な星空夜景が見られたんでしょうけどね.
明るくなり始めた頃にタンチョウを見に移動.前日に下見していたサンクチュアリへと向かったんですが,何にもいない.あちゃぁ,けど野生の動物やしこればっかりは仕方ないかと移動.予備知識もなかったので湿原観光がてらにぐるりと回りながらうろうろすること30分ほど・・・・・・.

タンチョウが飛んでいるのを発見.遠くで鳴き声もする.三々五々に少数の群れで同じ方向へ飛んでいくのを見て地図から鶴見台とあたりをつけて・・・・・・.

ようやくタンチョウの一群に遭遇しました.みんなここに向かっていた模様.

見ている間にも三々五々と飛んできます.ちょうどおばあさんが給餌しているところで誰も居ないのを良いことに,おばあさんとおしゃべりしながら見させて貰いました.

つがいで行動しているらしく観察するほどでもなくよく分かります.

掛け合いの季節でいろんな所から代わる代わるあがる鳴き声.すごい声量であの細い喉から良くこれだけの音が出るなぁと圧倒されます.

そしてつがいのダンス.もう,これが美しいのなんの.ひらひらと舞う姿は妖精とも神とも称されて全く違いありません.これただひとつのためにつくづく釧路まで来て良かったと思えるほど.

ほんとうに美しいですよね.姿といいしぐさといい,優雅という言葉がそのままそこに在るかのように感じられて惚れ惚れと眺めていました.
「全身が雪のように白く,頭には丹頂という赤いものを戴いて尾にはつやつやとした黒い毛が生えている.誠に姿形が美しいところへ,一度雌雄が定まると生涯相手を替えないという操の正しさが日本人の心をくすぐる」というツルをたたえた文言が落語「つる」の中で出てきますが,本当にそのままの姿が目の前にあって,そこはかとない感動に飲み込まれて見ていました.昔はこれが日本のどこでも見られたというのですが,こんな美しい鳥がどこにでも居たなんてどれだけすてきな世界なんだろうかと思いますね.コウノトリといいトキといいツルといい本当に少ない,いや,それでもこうしてまだ見られるだけ有難いと思わないと.

やがてお腹を満たして満足したのか,あるいは次のえさ場を求めてか,また三々五々に飛び立っていきます.
大満足のうちに鶴見台を後にして釧路湿原へ.

湿原展望台へと戻ってくる.夜景の街も明るくなるとひっそり静かなもの.

展望台より先に木道へと向かいます.湿原といえば木道で整備されていて歩きやすいのはこの辺りだとか.晩秋の平日なら誰も居ないのは当たり前かも知れないけど,まぁ満喫満喫.

一番なのはやっぱり緑の季節だと思うけれども,木の葉が落ちて向こうまで抜けて見える風景も乙なもんです.それもこの青空!

木々を抜けて30分くらい歩いたかな?サテライト展望台まで行くと眼前が開けます.

なんかアフリカとかの国定公園的な.

すごいよ,これ全部手つかずの自然なんでしょ?生き物居ないかと持ってきた双眼鏡で探してみたけど見つからなかった.夏場だったら違うのかな.

湿原というと低地で平地というイメージでいたけど丘地の木道で結構段差有り.


ぐんぐんと下っていって探勝道路まで.ここからずっと4kmほど続いていて温根内ビジターセンターまで行けるそうです.当初の予定ではビジターセンターまで歩いて,バスで湿原展望台まで戻ってくる作戦を考えていたんですが,ここにたどり着くまでに写真で予定時間の半分を吸われていてとても4km歩いている余裕はない.仕方がないので探勝道散策は次に来た時に残して引き返します.

引き返すといっても別ルート.なにやらでこぼこした場所へと出てきました.

北斗遺跡です.本当は資料館にも行きたかったんですが,ちょうどこの週から冬期休業に入ってしまって遺跡部分のみの見学.木道から数百mそれたところにあって散策道からさくっと見学できます.周りが手つかずの原野なのでそのまま当時の風景として見ることができる貴重な場所でしょう.時代によっては海面の水位が違っただろうけど.

再び散策道へと戻って湿原展望台へととって返す.探勝道散策やめたのに3時間近く歩いて歩き足りないと思っていた位なので笑ってしまう.

展望台へ入って展示を見学して屋上へ.展望台というだけあって高台から全方位を見渡せる様になっていますが,サテライト展望台であれだけ眼前に迫って見えていた湿原が遠い.ここまで来て時間ケチるのは勿体ないですね.木道周遊しなくてもせめてサテライト展望台までの往復一時間は絶対かな.

車で温根内ビジターセンターへと向かい,木道ちょこっといってヤチボウズとヤチマナコを軽く見学.

木道歩いたら時間吸われる気がしたので引き返す.
続いては釧路市丹頂自然公園へ.タンチョウ保護・繁殖を目的としている施設です.朝にあれだけの物を見た後でわざわざ保護されたのを見るのも南下と思ったんですが,タンチョウを間近でじっくり見られるらしいということで.

つがいごとに結構広いエリアで飼われていました.鳥インフル対策も兼ねて羽根は切ってあるらしい.フェンスにちゃんとカメラ穴切ってあるあたり,きっと要望多いんだろうなぁ.

腰を据えてじっくりと撮れるので来ただけのことはありますね.それに温かい季節には野生のタンチョウも見にくくなるんでしょうから,いつでも見られるというのは有り難いのかも.

近すぎ.やっぱりでかいわ.

その後,釧路市立博物館へ.市立だからと思ったらいつものパターンで時間吸われる吸われる.気がついたら一時間が溶けてて慌てたんでしょうね.車に戻ろうと博物館を出るところでカシャーン・・・・・・.
持ってきていた70-300mmの望遠レンズが落下.フォーカスリングが反応しなくなってしまいました.やっちまったと思いつつも良くこのタイミングで落としたものだと安堵.肝心のタンチョウ撮影で十二分に役割を果たした後だったので不幸中の幸いでした.油断してカバンに甘く放り込んでいたので自業自得と飲み込んで次の場所へ.

釧路湿原の東側へと向かいます.北上してシラルトロ湖まで.
南下してサルボ・サルルン展望台へ行こうとしたものの道が壊れていて通行不可で断念.

エコミュージアムセンター「あるこっと」
塘路湖を過ぎようとしているときにふと看板が目に入って寄り道.運転してて二度見してしまいました.そりゃ行くしかない.が,水曜休館.

がっかりしてふと反対側を見ると趣のある建物.標茶町郷土館です.旧釧路集治監の移築復元だとか.これは思わぬ拾いものと中へ入る.まぁ平日なので他に誰も居ないんですが,係の方がわざわざ全室のストーブを付けてくださって恐縮しながら中へ.来館者の記帳みたらこの日は私ただ一人でさらに恐縮.

中は掘り出し物.郷土館というだけあって土地に関連した資料が狭い室内にわんさと詰め込まれていて,昔の道具類から産業文献資料その他が詰まった宝箱状態.子供の頃はこういう昔の器具見ても何が有り難いんだと思っていたけど,価値観変わったなとしみじみ思います.

二階の剥製群や集治監時代の資料も興味深く,とても日の入りの一時間前に来るところじゃなかった.じっくり見たいけど釧路の夕日が優先なんじゃが,せっかくストーブ入れて貰ったのに慌ただしく出ていくのは申し訳ない,けど夕日・・・・・・.次は時間とって見に来ます.「あるこっと」の看板のせいで思わぬ拾いものと時間吸いにあっての慌ただしく次へ.

細岡展望台.駅のそばと聞いていたので何ともないのかと思ったらとんでもなかった.湿原展望台より高さがなくて湿原が近いですね.それに水が近いから絵になる.湿原らしさというとこっちの方が映えるのかな.

確かこの時点で日の入り15分前とかじゃなかっただろうか.ラストの岩保木水門へと行くか,ここで日の入りを待つかを思案しGo.まぁいつものことだよね.

水門方向へと車を出したら道がアスファルトから砂利道へ.間違ってないかと不安になってるところへ・・・・・・.車の前へ出てきて動かない.いや,こんな間近で見られるのはありがたいんだけど日の入り・・・・・・.じりじりしながら無事に退いて貰って進むこと10分くらい.岩保木山をぐるりと迂回してようやくアスファルト道へ.

ぎりぎりセーフ.真っ赤に燃える釧路の夕日です.

水門にたどり着いた頃には暮れてしまってましたがまぁよし.

水辺でひっそりと暮れてゆく空を眺める.

寒い.めっちゃ寒い.けど寒いからこその夕日.
薄暗くなってきたあたりで撤収.あとは空港でレンタカーを返すだけ.

GSで入れたあとさらに30km走ったので1245kmの走行.
5日のうちの4日を車で走ってたし北海道だしで,こんなもんだろうと思ってましたがレンタカー返却の時にメーター見て驚かれる.え,一日300kmで普通だよね.

釧路空港から羽田へ.

綺麗に晴れていたので夜景から地図を追えて楽しかった.襟裳岬からむつ,仙台抜けてと道と都市の規模で羽田まで現在地を完全に追えたのは初めてでしたね.
無理目にとった休みでしたが,大満足な旅になりました.季節的に面白いかどうか分からなかったけど,冬の入り初めでこれはこれでありでしたね.なにより釧路が素晴らしかった.もう既に行きたくなってるくらいに楽しかった.
まずは落とした300mmを買い直して,出来るならもう一段上の望遠を手に入れて行きたいです.
ということで道東の旅もこれまで.