三日目は東ノ突端から北上コース
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アルバム 141115-1119_北海道 |
朝4時に起きて根室のホテルを出立.真っ暗な中を東へ.対向車もほとんどなく寒さも寒いなりにまぁこんなもんかなという程度の真っ暗な夜の静かなドライブでした.

で突端の本土最東端の納沙布岬です.日本で今行ける,ね.あいにくと低い雲が浮いていて日の出には厳しい天気,見通しも良くなかったですね.夏場ならともかくもこの時期でだ~れも居ません.
あちこち旅していて岬や灯台は割と目的地に入れてるつもりなんですが,よく考えたらどこぞの最端ってのはあまり行けてないんですよね.せいぜい本州最北端の大間崎くらいで佐多岬も足摺岬も予定押して行きそびれてますから.まぁここも本当は先に北方四島があるんですけどね.どうなるか分からんしね.ちゃんと行きそびれ拾って宗谷岬,襟裳岬,潮岬,あと与那国島にも行きたいですね.

日の出の時間まで岬のあちこちうろつきながらまってみたけど天気は回復せず.それどころか海の向こうは雨らしく日の出は拝めませんでした.

たぶん向こうに見えてたのが歯舞諸島の一つだと思う.水晶島が7000mらしいんでたぶんそれだろうなと.こういうの見るときの目視の距離感も鍛えたいな.旅先で戦史と地図と地形を見比べるときにスケールの把握が出来ないのは損ですからね.日本海海戦で距離8000mとか言われても見当つかないと分からないですから.
日の出時刻を過ぎてすっかり明るくなったので行動開始です.
まずはヲンネモトチャシへ.納沙布岬から1kmちょっとの温根元の漁港の西側に突き出た所にあるアイヌチャシ群のひとつです.
チャシというのはアイヌ民族の築いた柵囲いの名称で砦であり祭祀場という位置づけの施設とのこと.アイヌ史は文字文化がないので歴史というよりも考古学的な色合いが強いのだけれど,14,5世紀近辺からの倭人との戦いのなかで出てきたものだそうです.北海道・オホーツク地域に広く分布するということですが,特に集材する根室半島の遺跡群が根室半島チャシ跡群として国史跡に指定されています.24箇所のチャシが史跡に指定されているとのことなんですが,実際に見学が出来るのはそのうち2箇所だけ.そのうちのひとつがこのヲンネモトチャシです.

駐車場に車を止めて数百m野っ原を歩きます.野っ原だけど除草剤撒いてあるみたいで道は分かり易くなってました.

漁港が望めるところまでくると段と窪みがあってちょっとした高みがあります.ほんとうにちょっとした高み.

高みの先に堀を経て猫の額ほどの平地.これだけ.

まぁこれを砦とするには全然な気がするけど,周囲が海岸段丘で天然の縄張りと考えるとその最奥の聖域と考えられなくもないのかなという感じ.海岸段丘の方は駐車場から歩いてくる中でも都合良いくらいの張り出し方になっているので確かに防衛拠点として無くは無いかなと思うけど弱いよねやっぱり.時期がクナシリ・メナシの戦い近辺とされているんですが,1789年の時点とするなら倭人と戦うもなにもなかったんじゃなかろうかと思います.

続いて見学できるもう一箇所であるノツカマフ1・2号チャシへ.

案内板はあるけど駐車場無し.車通りは少ないけどカーブの脇に道が延びているので道に寄せておくのも憚られて頭突っ込んで停める.他の見学者とかち合うことは少ないだろうけどこれどう停めれば良いんだろう.車道からそこそこ歩きますがこちらもちゃんと道が付けられていて歩きに困ることはなく.

まずは2号チャシ.段丘の平たい面にちょこっとだけ切り取って堀が巡って盛り土してあります.やっぱり戦術的なものじゃなくて別の意味合いを持っているんでしょうね.ここは車道からの道に段差もなく平坦だったので何のためのものかはよく分からん.

続いて1号チャシ.こっちは囲いが二つ連なった形.

深い堀と浅い堀で分かれてたのは区別があるのか,残り方なのか.

ここは何もない野っ原の風景が綺麗で,その印象の方が強かったかな.この青空を見て今日は絶対良い一日になると確信できる清々しい気分になりました.

根室へと戻って擦文時代の遺跡である西月ヶ丘遺跡へ行ったものの案内板以外は何もなくがっかり.遺跡を回ってから改めて歴史と自然の資料館へ行けば得るものあったんでしょうが,月曜休館なのでやむなし.いつかはともかくまた来るし.

ということで気を取り直して春国岱へ.根室半島の付け根にある湿地帯の砂州で散策路が巡らせてあります.事前に調べていて駐車場から散策道を結構歩きそうな…と後ろの時間との都合を気にしていたけど,行ってみたら本当に結構歩きそうで躊躇.でもまぁ時間を決めて途中で折り返せば良いかと時計見てスタート.

湿地帯の木道って管理大変なんでしょうね.腐ってたり穴空いてたり傾いてたりしててもこれだけの距離歩けるだけ有り難いです.

15分ほど歩くと立ち枯れた木々の根元まで辿りつけましたが,一番短い散策コースの木道がぼろぼろで立ち入り禁止.

でも荒涼としたこの風景はここまで入ってきた甲斐があったと思えますね.距離にして1kmちょっとでしょうが駐車場に止めた車が豆粒でそれと木道以外の人工物が時間が許せばもっと奥まで行きたいんですが,ひとまずここまで.

同じ時間かけて車に戻り北上.ざっと一時間半走って野付半島へ.以前から地図で見ていて行きたかった場所のひとつ.こんな面白い地形走らずにはいられませんよ.途中でキツネとすれ違ってテンション上昇,海に挟まれて視界全てが真っ平らな道路を快走してネイチャーセンターへ.着くと海の向こうに国後島が見えました.距離にして16kmだそうな.

トドワラを見に来たわけですが,駐車場で案内見たら歩きで片道30分とか書いてあって思案.知床でシーズンギリギリの観光船へ飛び込む予定だったのですが,知床半島に厚い雲がかかっているのを見て問い合わせたら船は出ないとの話で知床半島捨ててトドワラへ強行.

私の足で20分くらいだったかな.何もないなか春国岱と同様に歩いていくと木道に変わって見えてきます.トドワラは昔ここにあったトドマツ林が沈降して立ち枯れた跡で湿地にひっそりとたたずんでいました.


もちろん周りに誰も居なくて,20分歩いてきたので手近には何もない荒涼とした平野しかないわけで,冬の枯れた林の中で独りというなんとも寂しい感じが強かったですね.ネイチャーセンターや他の建物が遠くに見えるだけ不安はなかったけど,最果てへ来たんだという変な感慨にふけっていました.

ネイチャーセンターへ戻って奥にある灯台まで行ってから再び北上.
根北東下峠へとさしかかると周囲が雪に変わり斜里町へ入ると吹雪へ.峠一つでここまで変わるのかと縮み上がりながら網走へ.情報収集に道の駅で車を降りたら空気が全く違ってまたもや縮み上がる.寒い.

行き先が月曜休館じゃないことを確認して流氷館へ.流氷だから海のそばかと思ったら山の上へナビされて戸惑う.しかも工事真っ最中・・・・・・.

入館早々に体験室で実物の流氷展示.

濡れタオルが凍るというあれ.マイナス15度だったか16度だったか,普通のコートのままで意外と何ともないんだなと思ったけど5分足らずで風も無かったからなんでしょうね.一度は船で見にいってみたいものです.

展示をみてから屋上の展望台へ.寒い.そんな走ったつもりは無かったんですが,結構街から離れています.これだと夜景はそんなでもないかな?風はそんなでも無かったんですが,とにかく寒い.我慢できないものではないんですが,晩秋のはずなのに空気が完全に雪の降る直前の空気,いや雪降ってたけど.

続いては網走監獄.建物の保存と監獄の実態展示という感じでしょうか.

移築も含め展示が充実していて面白かったですね.

観光客ほとんど居ないのに人形がいっぱいあっていちいちビビる.

放射状舎房.一箇所から見渡せるように中央で45度で放射状に建てられているとか.面白い.

面白いけど,どこ向いても同じ光景で方向感覚がなくなる.

天窓で灯取っていて明るいけど,これ寒いんやろうなぁ.
ぐるりと回っているうちに暗くなってきたのでそそくさと退場.曇っていることもあって15時半には暗くなってくる始末で冬は本当に不便.
宿泊予定の川湯温泉を目指して女満別空港,美幌を脇目に峠を上っていくと再び大粒の雪.峠までは何とか持ったものの美幌峠を下り始めたら道路が白くなり始めてひやひやしながらの運転でしたが無事にホテルに到着して休みました.