6日目は島原半島と長崎の旅です.
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アルバム 130427-0506_九州 |
小浜をまたもや日の出前に出立.
向かうは南島原.

海縁まで降りると雲仙と天草を向こうに有明海を望むことが出来ます.
ゆっくりとオレンジに染まっていく空は気持ちがいい.

実は冬に買った300mmレンズずっと使わずじまいだったんですが,ようやくここで使うことが出来ました.
大抵200mmで足りてしまうので交換の手間を惜しんでしまってましたが,変えるだけのものは撮れますね.
太陽が大きく取れるのは実にいい.
日が昇ったら次の場所へ.
南島原には原城があります.
天草・島原の乱において大激戦となった地です.

島原藩の島原城築城と圧政とキリスト教弾圧に耐えかねた住民は島原半島南部を中心として蜂起し,
島原城を攻撃,しかし城を落とすことが出来ず当時廃城となっていた原城へと立てこもりました.
また時を同じくして蜂起した天草の勢力も合流し,その数は女子供まで含め3万7千人にも及んだとのこと.

海に面した丘,というより台地になっている場所にわりと広い面積で作られていて今もその遺構が残されています.
広いとは言っても規模としては中規模と言ったところだと思います.
とても3万7千もの人数が立てこもれたとは思えない.
原城に立てこもったものの援軍があるわけで無し,孤立した状態で3ヶ月の籠城戦を戦ったものの兵糧尽きて
幕府側の鎮圧軍12万の前に崩れ去り,一人残らず皆殺しにされたという壮絶なお話.

そんなことがあったため,乱の後で原城は徹底的に破壊されています.
一部石垣が残っているものの名護屋城以上に割られているのがよく分かります.

本丸の枡形と思われる場所.石垣どころか土塁がない.
縄張りは分かるように残っているものの,防御機構はかなり崩されていました.
もっともそれが破却によるものか風化か田畑のために潰したかは分からないのですが.
原城を見ていて近くにもう一つ,お城跡があると言うことを知って寄り道.
それが日野江城.
日野江城は島原城以前の島原藩の本城だったお城.
山側で手狭だということで後に乱のきっかけとなる島原城を築城に繋がります.
場所は案内が出ているのですが,かなり細い道を上がっていった先にあってひやひや.

ちゃんと草も刈ってあって整備はされていたんですが,雨の後のせいか足元がぬかるんでいてあまりあちこち歩けなかったのが残念でしたね.
階段上がって本丸まで上がれたので良かったですが周囲の曲輪まで見て回れませんでした.
解説版には大陸系の技術を駆使した石垣遺構と書いてあったもののそれがどこのことだったのか分からなかったのも残念.
日野江城を後にして乗り込むのは島原.
冬の再訪ですが今回は街探索.
なんてったって今回は自転車持参ですからね.
霊丘神社脇の駐車場に車を止めてまずはお参り.

霊丘神社は怪しいと踏んでいたところだったのですが,その前にこんなの.
弓道場と言うことですがこれはビンゴでいいと思うんだが・・・・・・.

で,すぐ裏手に霊丘神社(正しくは神社の裏手に弓道場だと思いますが)
社に高さがあるのは異なる点ですが,このふとましい鳥居は雰囲気はあると思う.
なにより似たものが二つセットであると言う時点で決めていいと思うんだ.
意気揚々と車へ戻り自転車を引っ張り出す.

まずは商店街を抜けて白土湖まで.
涅槃大仏のところのお墓も怪しいんですが,特定には至らなかったんですよね.

今回は雲仙の方の眉山も綺麗に見えます.

島原城を抜けて武家屋敷へ.

ここもチェック.
以前は改修中で入れなかった篠塚邸も入ってみるがやはり山本邸かな.
再びお城を抜けて海浜公園へより,違うことを確認してから霊丘神社へ戻る.
時間がきてしまって九十九島まで足を伸ばせなかったのが痛手.
でも予定があるので次へ.
冬の旅行では認識すらしていなかったんですが,
その時に熊本へ渡るフェリーの待合室の展示を見て今回の旅行で予定に組み入れました.
平成の大噴火となった雲仙普賢岳の噴火と火砕流について.
ということで向かったのが雲仙岳災害記念館.
私が生まれた後の出来事だとはいえ,物心つくかつかないかのこと.
詳細はとんと知らないままだったので展示資料みながら何があったのか,
何が問題となったのかなどひとつひとつ勉強しながら.
でも,理解出来ても実感というものはとんと湧きませんね.
今現に見ている普賢岳は荒々しいなりに綺麗な様で,
あれが噴火して大災害を引き起こしたと言われてもピンと来ない.

近くの災害跡を保存している土石流被災家屋保存公園へ.
噴火した火山灰に雨が降り土砂となり濁流となって家々を押し流したとのこと.
こういう爪痕をみると尋常じゃないことがおきたと実感出来るあたり現金ですね.

なんとなくですが,これみてどう感じるかで,
この件がその人にとって歴史かそうでないかが分かれるんじゃなかろうかと思いました.
どれだけ現実味を感じられるかということでね.
私に取ってはこれは歴史のよう.まぁ体感した阪神淡路大震災も私には歴史ですし.

続いて山側にある大野木場小学校へ.
先ほどと似ていますがこちらは火砕流.
山から駆け下りる火砕流がすぐそばを通過し,その熱風による被害の様子を保存してあります.
熱風が裏手から手前へ抜けたらしくコンクリート部分以外は綺麗になくなっています.

裏側へもぐるりと回れるようになっていて,この右側少し先を火砕流が抜けていったらしい.
その後,島原を離れて長崎へ.
下道を有明海沿いに諫早まで小一時間のあと高速.
長崎は都市部のど真ん中にインター持ってるので渋滞に巻き込まれる前に駐車場へ放り込めるのが嬉しい.
駐車場へ車放り込んだら常磐桟橋へ.

ごっつい船.もちろんこれに乗るわけではないですが.
本当はハウステンボスに行った後,午後にここに来る予定でいたんですが,
ハウステンボスで時間を食ったせいで予約を今日にずらしてもらっていました.

それがこれ.
軍艦島の上陸ツアーです.
ちょこちょこネットで見ててやっぱり行ってみたいなと思い予約してたんですよね.
平日とは言えGWでしょうか.乗客はいっぱいでした.
時間通りに長崎港を出港,

空は気持ちのいい晴れ.
稲佐山や三菱のドックを間近で見ながら船は進みます.


途中で神ノ島や沖ノ島の教会もばっちり見えました.

と,言っているうちに島影から見えてくるのが異様な影.
本当に船の格好してますよ.

つか船ですよこれ.

写真いっぱい撮ってきたけど,この異様さは目で見ないと分からないと思う.
朽ちた雰囲気が醸し出す空気は遠目でも不気味に映ります.

程なくして接岸,上陸.
上陸と言っても島のごく一部に設置された安全な遊歩道の上を数百メートル歩くだけなんですが,
それでも間近で見る朽ちた建物群の迫力はかなりのものでした.

通路を少し広くした見学場所が3箇所あってそこでガイドの人が建物や当時の生活を写真と共に説明してくれます.
廃墟好きの人にはどうか分からないけど,通路意外はほとんど整備されずに放置という感じで荒廃っぷりは見応えがありましたね.

これで無人島になってたかだか40年なんですよね.
それでここまで荒れるなんて・・・・・・.

一番奥.居住棟が間近に見えます.
黒い建物は日本最古の鉄筋コンクリート造の高層アパート.
1916年というからもうすぐ100年ですよ.
山の上の灯台は無人島になってから作られた灯台.

これ補修しないんでしょうから,時間が経てば建つほど崩れて行くみたい.
外の波から守る護岸壁も台風で壊れたりしているみたいなので,いずれ建物の形もなくなりそう.
世界遺産暫定リスト入りしているらしいけど,保存と荒廃の両立って出来るのかな・・・・・・.

そんなこと考えながら船に乗り込み外から島をぐるりと.
この姿が軍艦「土佐」と似ているからという名称の由来のポイント.

もう危なくて近寄れない高層住宅部分も海側からかなり近づいて見せてくれるのでひとつひとつがじっくり見られます.
ほんとこれは立ち入り禁止にされても仕方ないですよ.誰も安全を保証出来ないですもん.
今やメディアですら取材の許可が下りないらしいというのも頷けます.

一通り見たら軍艦島を離れ長崎港へ.
戻ってきたら颯爽と島原へ.昨日同様フェリーで熊本へ戻るつもりでいました.
なんですが,まだ小一時間余裕があるからと長崎でトルコライス食っていたら意外に時間食い,
さらに諫早で駅前の渋滞に突っ込んでしまうというポカをやらかし,島原行ってもフェリーに乗れない時刻に.

仕方が無いので島原行きを断念してそばにあった諫早城へ.
ナビを見てて見つけたノーマークのお城だったんですが,かなり遺構が残っていまして,拾う神ありだなと.
生憎暗くなりかけている時間帯だったので全体を把握して回ることは出来なかったですが,
案内板見ながらぐるぐる見てまわっていました.

最上部.比高からすると平山城でいいはず.
それでも街を見渡せます.

搦め手側から登って大手側へ降りると立派な眼鏡橋.
1838年に築かれた重要文化財.
すぐ近くにかかっていたらしいのですが,水害対策で川幅を広げるにあたり移築して残したそうな.
さて,予定していたフェリーに乗れなかったからには諦めていた長崎夜景を撮らずにはいられませんよね.
なんてったって冬の旅行でデジイチ忘れて山に登るという大失態をしたんですから.
ということで長崎へ舞い戻り夜景撮影に入ります.

長崎で夜景撮るなら稲佐山よりこっちだろうなと思っていたら案の定.
こう見ると繁華街が木々に隠れるので民家の灯りが中心になるんですが,
湾内の水の反射が使えるので光量は補えているはず.
これは空気の綺麗な時期に来たいもんです.
お次は稲佐山.
車で上がれますがマイカーは野外ステージの大駐車場に車を止めてシャトルバスで展望台へ.

宝石を抱く長崎の湾港は確かに見応えがあります.
けどパノラマ過ぎてやっぱり写真向きでは無いなと実感.
で,やっぱり人が多い.
つまりあれですよ,函館山といっしょ.
三脚展開してセッティングしてたらなにこいつ,みたいな目で見られるというあれ.
まぁ函館山の時ほどひどくはなかったけど.
そんな中で一通り撮影してから山を下りて休息しました.