九州旅行3日目です.
熊本編ではなく熊本城編.つまりはそういうことだ.
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アルバム 130101-0105_九州旅行 |
熊本のホテルを出るのが日の出頃.
いったん熊本駅へ行きコインロッカーに荷物を放り込んでから熊本城へと向かいます.

長塀(現存)
折れない一枚塀は防御としては適さないんですが,堀の前だから大丈夫なのかな.
向こう側の櫓は現在復元中.
そこから堀周りを反時計回りに巡っていきます.


現存の櫓群.
東竹之丸には多くの現存櫓が残されています.
こと辺りは姫路城を連想するような感じですが,やっぱり下見板張りがいいんですよ!
ぐるっと回って北大手門から昨晩来た加藤神社前へ.

日が昇って逆行にそびえる御天守.
もう素晴らしいってもんじゃないですよ.
そのまま西大手門から出て二の丸を抜ける.
書いてて気がついたけど,あの広場が二の丸だって言うのがもうおかしい.
勝手に郭外だと思ってたけどやっぱりおかしい.何あの規模.

段々になっている二の丸御門付近の高石垣.
もうやだなにこれすごい.
ちなみにこの時点で朝の8時過ぎ.
まだどこの施設にも入っていないのに,お城の外回っただけなのに満足通り越してて半ば逆ギレ状態.
勿体ない精神が働いてこのまま帰りたいような気すらするくらい.

だってこの枡形の規模とかでもうアレなのにこんなのがごろごろ転がってるんですよ?
お城見る余裕なんてこの辺りから失せてしまっていてすっかりただの観光客に成り下がっていたように思います.


門の外は三の丸.
駐車場の先に細川刑部邸が移築復元されています.
細川刑部とは寛永年間に移封してきた細川忠利の弟だそうで,その筋の武家屋敷が残っています.

立派な庭を抜けてこれまた立派な正門を抜けると大きなお屋敷.
内部は縁の品々が展示されており,ぐるっと見てまわることが出来ます.
幾棟も組寄せられていてほんに上級武家屋敷という風体.
というより堅苦しさが和らいだ御殿と言っても差し支えないほど立派なものでした.

再びお城へ.
二の丸へ入り西大手門からいったん朝の行動開始点だった馬具櫓まで戻ってから城内へ.

長塀の裏側.
控え柱は多くの場合木製ですが,ここは石造.

木造復元の飯田丸五階櫓がそびえています.

御天守を望む.
手前に人が写ってても感覚狂う.
熊本城は加藤清正公が気づいた天下の名城として知られています.
慶長年間の築城というと秀吉が亡くなり豊臣時代が揺らぎ始めたころです.
そのせいか,城の作りは徹底して実践向きに作られておりその備は異常なほど固いものになっています.
広大な敷地に総石垣で城を築き,大きな堀に高石垣,そして至る所に巨大な櫓が立ち並んでいました.
大小天守だけでも大したものですが,これを除いても城内に五階櫓が六つあったと言うんですから
その規模は他の城をはるかに凌駕しています.

竹之丸からぐるっと回り込むようにして東竹之丸へ.
苔蒸した石垣に支える塀を無くした控え柱.
いつ無くなったのかな.
時代から考えるとやっぱり西南戦争時分だろうか.

東竹之丸から飯田丸を望む.
手前の石垣は西竹之丸五階櫓跡.

有名な二様の石垣.
細川家時代に改修をして加藤家時代の石垣に石垣を付け足して用地を広くしたとか.

飯田丸の五階櫓.
ずんぐりとした格好しています.
内部も公開されていて復元の様子がパネル展示されています.
飯田丸からさらに平左衛門丸へ.

もうこの枡形おかしい.
攻め上がるときにここを突破しないといけないとか無理ゲーでしょう.

数寄屋丸の大広間を見てからいよいよ本丸へ.
これが面白い構造をしていて,本丸御殿の下に本丸へ通じる通路が設けてあります.

そして本丸.
大小の天守(外観復元)がそびえます.
やっぱり望楼形の天守いいよね.
内部は資料館になっていて熊本城の歴史を順に追っていけます.

で最上階からは熊本城下が一望できます.
木々の葉が落ちているので縄張りが見やすいのも嬉しいところ.

現存の宇土櫓.
天守からこれだけ大きな櫓が見下ろせると言うのも不思議な感覚.

本丸御殿.
先ほどの通路の上というのも面白いんですが,
縁側や招君の間など面白いところがいろいろあって楽しめました.

本丸御殿下の本丸への通路.
通路の中は真っ暗なので灯がないと進めないという防御姿勢も面白い.

本丸を出ていよいよの宇土櫓.
五階櫓であり,熊本城唯一の現存多層櫓.
慶長年間の建築だという話ですので本当に築城当時からここに在るという歴史の証人.
熊本城では天守でこそ無く,また大小の天守も西南戦争直前に焼けてしまったため,
現存十二天守には数えられていませんが,現存天守では姫路,松本,松江に次ぐ4番目の大きさを誇ります.
多くの天守が御三階櫓ですからこの規模の建築物がいくつもあった熊本城はどれだけ手が込んでいたのでしょうか.

写真のように宇土櫓は続き櫓とそれの先にある二階櫓も残っています.
二階櫓側から入って宇土櫓の最上階まで登れます.

現存建築物らしいずっしりとした重みが材木からも伝わってきます.
この建物,西南戦争をくぐり抜けてきたんですよ.
熊本城を巡ってきて何よりも良いと思ったのは,
城内に現存櫓とコンクリート製復元櫓と木造復元櫓がすべて並在するところですね.
宇土櫓は現存櫓,大小天守はコンクリート,飯田丸五階櫓他は木造復元によるもの.
普段何となくお城へ来ても,大抵はどれかひとつだけしかないわけで,違いを意識することはあまりありません.
その建物がどういう経緯でそこにあるかなんて誰も考えないんですよね.
でもここにはそれが全部ある.何もない石垣だけの部分も含めて全部見比べられる.
それぞれを巡ってみて,それぞれの建物の違いをはっきり見て取れるというのは重要なことだと思うんですよね.
江戸時代が終わって政治的機関から観光資源へと時代は流れて来たわけですが,その流れの跡を熊本城は有しています.
往年の花形だった時代に思いを馳せることも大事ですが,それを今この目で見られる軌跡も考えてほしいものです.
さて,復元というと熊本城は全国でも類を見ないくらいに本気で城郭の復元に取り組んでいて,
五階櫓や各大手門に各所の隅櫓,本丸御殿に数寄屋丸広間と恐ろしい規模で復元しています.
今後も五階櫓を初め,随所を復元するらしいので次来たときにまた景観が変わる再訪のし甲斐のある場所です,
城郭は建物がメインでは決してない,というか石垣や堀といった縄張りこそが城でしょうが,
さりとて往年の威容を否定するものではないですし,
この規模の復元を出来る場所なんてそうそうある物ではありませんから,応援はしていきたいところです.

本当はもっと巡りたいんですが,まだまだ見たり無いんですが,この時点で12時.
まだまだ見足りないけど,レンタカーを予約していたので仕方なく離脱.
いくら何でも五時間あれば十分見て回れるよ,って思って組んだ丸半日だったんですが,全然足りませんでした.
がっつり見るなら丸一日組まないといけないみたいですね.
ぎりぎりまで熊本城歩き回って,予約時刻押しに押した上でレンタカー受け取り.
熊本市内を離れます.

向かったのは阿蘇.
草千里に到着したらこれですもん.
山の上だし雪は仕方ないよねって思ってたら氷張ってた.
こういう思っても見ない風景に出会えるからオンシーズンを外す意味ってあるんですよね.
ロープウェイで火口へ.
なんですが,ロープウェイしかないと思ってたら車で上がれるの.
しかも後で調べたら車で上がった方が安いと来ていて拍子抜けでした.

ともかくも阿蘇の噴火口へ.
風向きでこちらへ流れるみたいで一部は進入禁止になっていました.
大きな火口とそこへもくもくと上がる白い煙のダイナミックさはすごいもんだと思いますね.

でも寒い.山の上寒い.
気温が低いところへさして風がやたらと強いもんで,帽子にフードかけても風が入り込んで寒かったのなんの.
手元のカメラ用手袋が太刀打ち出来るはずもなく,5分くらいで感覚無くなってましたね.
あまりの寒さにさっさと山を下りてしまったのは勿体なかったですね.
山を降りたら熊本へ戻って高速へ.
一気に南下して鹿児島県へ.
暗くなったころに宿へ入って早々に休みました.