遅くなりましたが,C90お疲れ様でした.
今回,サークル「いまじならっく」ではいつものエロゲムービー本などのラインナップに加え
本革製500円玉用コインシリンダーという変わり種を頒布しました.
これはばね仕掛けになっている500円玉専用のコインケースでして,一枚ずつ素早く取り出せる様に工夫したものです.ダーツ用品として100円玉用は一般に出回っているのですが,同人誌即売会などで重宝する500円玉用は出回っていないということで細々と開発をしていましたが,それがようやく形になって頒布に漕ぎつけました.
Twitterでは開発過程をちょくちょく呟いていたのですが,blogの方では何も話題に取り上げていなかったので,情報を取りに来られた方は何事かと思ったかも知れません.Twitterでも時間がたつと流れてしまうので,きちんとまとめておいた方がいいだろうということもあり,ここではその本革製500円玉用コインシリンダーについて簡単にまとめさせてもらおうかと思います.
2017/5/6追記

制作経緯
ご存知の方はご存知でしょうが,私はALcotの大ファンでして,毎夏冬のイベントにも足繁く通う身です.そのALcotのイベントといえばキャラクターピンズのガチャガチャが定番になっています.500円玉を入れてガチャガチャを回すと金属のキャラクターピンズストラップが出てくるというもの.私はこれに初回から参加しているのですが,参戦するたびに500円玉の取り回しがやりづらくて困ることが難点でした.毎度たんまりと500円玉を小銭入れに用意していくのですが,ばたばたしながら500円玉を取り出していると,つい落としそうになったりして危ないんですよね.そこで,解決案として浮かんだのがコインシリンダーでした.これなら必用な分だけ500円玉を取り出せるので楽ですし,落としてもばらまく心配が無いので安全.ただ,500円玉用のコインシリンダーというのはあまり出回っていなくて,同人サークルでいくつか見かけるだけ.それすらも購入できる機会になかなか恵まれず,それならいっそ作ってみようという流れで開発をはじめました.
自分で開発するなら自分の使用スタイルに合わせて,と掲げた目標は三つ.
○腰に吊り下げて使用出来ること
これを念頭に開発をはじめました.
ガチャ向けにととりあえずで作ってみた500円玉用コインシリンダー。確かにこれは便利。まだ改善点はあるけどもうこれでいいような気もする。 pic.twitter.com/5HdkmNXv0V
— 伊頼 (@imaginalack) 2015年3月31日
500円玉用コインシリンダーのカバーが出来たので一連の工作終了。明日から仕事が鬼なので間に合って良かった。 pic.twitter.com/XCz19GViSe
— 伊頼 (@imaginalack) 2015年4月5日
当初はアクリルで試作していましたが,50枚収納の設計をした場合,どうしても強度面で不安が残り頒布には踏み切れませんでした.補強のためにとりあえず自分用に間に合わせで巻いていた革カバーが予想以上に丈夫だったことから,「・・・・・・アクリル要らなくない?」と思い至り,それなら革だけで作ろう,と方向転換をしました.
C90向けの革製500円玉用コインシリンダーはこんな感じ.全高約13cmで500円玉50枚収納で,蓋を分離してカラビナで止める形へ変更.ホックを外さず蓋をくるっと回すだけで取り出せます.蓋が要らない時は後手にしておけばOK. pic.twitter.com/aN9KS1uGOX
— 伊頼 (@imaginalack) 2016年7月24日
道具を揃え,何度も何度も試作をした結果漕ぎつけたのがこの形.
普通ならプラスチックなり金属なり”硬いもの”で本体を作るところですが,それを本革を丸めて縫い合わせることで円筒形を実現しました.本革といえばカバンや靴の表皮として使うようにカバーとしての印象が強いかもしれませんが,革は布と違いそれ単体でも十分な強度をもっています.留め具とばね以外を全て厚手の本革で制作することで構造をシンプルにし,コストと強度を両立させました.本革ですから,手に馴染むのはもちろんのこと,しっとりとしたツヤとなめらかさが高級感を醸し出す上品な仕上がりになりました.
コインシリンダーのバリエーション
タイプは図の通りに2種類で,蓋の構造で区分けしています.
ひとつは蓋が本体と別れていてくるっと回転させて取り出せるタイプ.もうひとつは蓋が本体と一体になっていて,マグネットでパチッと閉じられるタイプ.使用時に毎度蓋を閉めるは億劫だろうということで,ストレス無く蓋を閉める方法を工夫しました.結果二種類の閉じ方を思いつきましたが,これは使用者の嗜好とスタイルに依るだろうと言うことで両方をラインナップしています.
色は革色が黒とワインの二色,糸色はどちらも白糸で,金具はニッケル(銀)色.それぞれの素材にいくつか色の種類はあるのですが,ひとまずはオーソドックスなところへ絞りました.
強度試験


このようなヌメ革(固く厚い革)には馴染みのない方が多いかと思います.革は丈夫だと聞いていてもどれくらい強いのかは分かりにくいかと思いますので,強度試験をいくつかやりました.といっても自分なりの試験なのであくまで一例の結果でしかありませんが,それでも,普通に使っていればまず壊れることは無いだろうという結果が得られています.
ばねの耐久性だけは何とも言えないのですが,それでも10万回試験をクリアしていますし,最悪でもばねは後から交換できるようにしてあるので,対処可能ということで問題は無かろうと思います.
注意点
注意点としては,水濡れとカビについて
本革の特性上どうしても水に弱いという弱点があり,水濡れを放置するとシワやシミになる可能性があります.また湿気の多い場所で保管してしまうとカビを生やしてしまう可能性もあり保管には注意が必要です.
もっとも,これは革製品一般に言える話でして,このコインシリンダーに限った話ではありません.一般の革製品と同様に管理して貰えれば問題にはならないと思います.
頒布
頒布については基本的に参加するイベントでの会場頒布とするつもりです.全て手縫いで制作している関係上,個々に差が出来るものですので,可能な限り使用する本人に直接確認いただいた上でお渡ししたいと考えています.
一個一個手縫いしていますのでアレンジの小回りは効きます.希望があれば色やパーツのアレンジは個別に対応可能です.
ご質問・ご相談などありましたらメールフォームからどうぞ.
その他
以下は,使用上のコツのようなものですが,ご参考までに.
いまじならっくで頒布した本革製500円玉用コインシリンダーですが,取り出し口の隙間はコイン2枚程度で調整しています.狭くなっている場合はコイン2,30枚入れて立てにシェイクしてコインで上板を叩いてみて下さい. pic.twitter.com/CO5O9Ld9kV
— 伊頼 (@imaginalack) 2016年8月15日
あと,カラビナが付いている通り吊り下げての使用を装丁しているので,シリンダを握って親指で押し出すというより,コインを"つまみ出す"という取り出し方が自然じゃないかと思っています. pic.twitter.com/3wcOmD40X5
— 伊頼 (@imaginalack) 2016年8月15日
うちの革製コインシリンダーのばねが柔らかいというのははじめの5~6枚について.というのは最大50枚となると一枚目と50枚目でばねが10cm近く動くので双方で無理のない力加減を実現しようとするとばね定数の低いものになってしまうのです.改案としてもう少し長いばねを使うという(続く
— 伊頼 (@imaginalack) 2016年8月15日
承前)改案としてもう少し長いばねを使うという手があるんですが,そこまでの無理はなかろうと言うことと,取り出しにくくなる=もうすぐ無くなるよ警告にもなるという面で現状としています.ここはばねだけ変えられるので後から対応可能ですね.でも長いばねにすると収容量は2枚減ります.
— 伊頼 (@imaginalack) 2016年8月15日
ちなみにこのコインシリンダーのデザインは革製ということもあってランドセルをモチーフにしています.なので色は黒と赤を,と考えていたんですが,すこし落ち着きのあるワインにしました. pic.twitter.com/ynXH0m0GA2
— 伊頼 (@imaginalack) 2016年8月15日